通潤酒造中庭造園工事(熊本県・山都町)
庭をつくる。
熟練の庭師による確かな技術と感性を存分に活かし、
その場所が持つ個性や空気感を引き立てる庭を作庭します。
完成後も経年変化を美しく育んでいく。
ご要望のさらに上をかなえる
「時を経てさらに魅力を増す庭づくり」をご提案します。
2016年の熊本地震で、熊本県に現存する最古の蔵『寛政蔵』を含む10棟以上の蔵が損壊し、4,000リットルもの酒を失うという大きな被害を受けた『通潤酒造』。絶望的な状況にもかかわらず、全国から届いた励ましの声に応え、歴史ある蔵をリノベーション。2019年春、約3年の歳月をかけて建物、庭ともに生まれ変わりました。国内外から訪れる観光客の目を楽しませる日本庭園を手掛けた庭師・本田琢也と、通潤酒造の山下社長に、当時を振り返ってもらいました。
限られた空間を最大限に生かし、光るものをより際立たせる。
「この地で長い歴史を刻んできた寛永蔵を改装し、新たな観光酒蔵を作る時、お手本にしたのはカリフォルニアワインの名産地・ナパバレーでした。中世のお城を移築したかのようなワイナリーがいくつもあり、醸造工程はもちろん作られるワインに込めた伝統・歴史を肌で感じられる工夫がそこかしこに息づいている。訪れた人が、銘酒オーパスワンをはじめお気に入りのワインを片手に優雅な時間をゆったり過ごしているのがステキで、『新たなビジネスモデルだな。こんな空間を山都町にも創りたい』って感銘を受けたのが始まりです」。自慢の庭を借景するテラス席に座り、そう振り返る山下社長。
目指したのは「熊本地震からの単なる“復旧”ではなく、お客様にこれまで以上に楽しんでもらうための“復興”」。その想いを受け、庭師・本田が大切にしたのは「今あるスペース、建物、土地の魅力を使いこなし、光るものをより色濃く魅せる」ことでした。例えば石畳は、熊本地震で倒壊した家から出た基礎石をリユース。実はこの石、街のシンボル『通潤橋』で使われているものと同じ由来を持ちますが、現代の建築様式では使い道がなく、震災後多くが廃棄されていました。本田はゴミの中に宝を見出し、石畳として活用することを提案。しかもあえて石畳の幅を広く取ることで、限りある空間の中で酒蔵としての歴史をより色濃く表現したのです。
日本家屋は庭が入口。
非日常に誘う
ストーリー作りが面白い。
中庭を挟み寛永蔵の前に位置するのは、山下社長の本宅です。西郷隆盛も泊まったことがあり、今も世界中のVIPをこちらでもてなしている由緒ある空間。「四季折々の表情を見せ、伝統美が息づく庭を通って家へと案内する。そのワンクッションに日本独特のおもてなしの心が息づいています。
古今伝授の間(熊本県・熊本市)
庭をはぐくむ。
それぞれの庭が持つ個性や歴史的背景、
そして作庭意図をしっかりくみ取り、
熟練の技でより豊かにはぐくむのが私たちの役目。
育成管理計画を作成し、お客様との信頼関係を第一に
大切なお庭を年間単位で美しく保つお手伝いをいたします。
「春夏秋冬
木々の成長によりそい
最良のコンディションを保つ」
『古今伝授の間』をはじめ、熊本県指定重要文化財や登録有形文化財に認定されている建物の庭園管理を数多く手掛けている弊社。何百年もの時を経て育まれてきた“木々の息吹”を未来へ受け継ぐために、庭師が大切にしている想いがあります。
樹木の役目は様々。
ただ美しいだけでなく
光をデザインする。
「グロウガーデンの魅力は、膨大な知識に裏打ちされた論理的なアプローチ」と語るのは、江戸後期に建てられた御家人屋敷※の家主。
美しく苔むす庭には樹齢200年を超える大木もあり、夏は青紅葉が、秋は真っ赤な落葉が映える京風庭園のしつらえ。
「手を入れすぎず自然を生かすことを大切にする一方、台風前には添え木をするなど細やかな心遣いで寄り添ってくれるから心強いですね」と、絶大な信頼を寄せていただいています。
弊社では、庭に求められる美しさは「調和」と考えます。建物や周りの景色のバランスを壊すことなく、「年2〜4回のお手入れで、いかにしていつ見ても美しい庭に仕立てるか?」が腕の見せどころ。さらに樹木が持つ役目は目隠し、日除け、観賞用など様々ですから「お客様のご要望に応じて光をデザインし、年々カッコよく育てていくこと」を追求します。
※登録有形文化財 岡本家住宅(熊本県・大津町)